被災する土地は予測できます。


  •  家は頑丈に作られていても、地盤が弱ければ、地震によりその地盤とともに建物は崩れ落ちます。阪神大震災や中越地震、東日本大震災、熊本地震などの大規模地震では多数の宅地地盤が崩れ落ちました。ひとたび被災すると、その後の生活は大変な目にあいます。阪神淡路大震災の調査では、40 代・既婚・家持ち・子持ち世代が最も生活の再建が厳しいようであり、生活再建不能となる場合もあります。
  •  下記は、30年以内に発生すると言われている地震の発生確率です。
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    領域または地震名 想定マグニチュード 地震発生確率
    南海トラフ(南海トラフ巨大地震ともいわれている) 8~9 70%程度
    相模トラフ沿い(首都直下地震ともいわれている) 7程度 70%程度
    色丹島沖・択捉島沖 7.1程度 90%程度
    三陸沖北部 7.1~7.6 90%程度
    茨城県沖 6.7~7.2 90%程度
    日向灘 7.1前後 70~80%
  • 地震調査研究推進本部(平成28年1月13日)参考
  •  2011年東北地方太平洋沖地震の一部である宮城県沖地震は、地震発生前に30年以内の発生確率99%と予測されていました。2016年熊本地震の日奈久断層帯も地震前に最上位の発生確率「高い」(0~6%)に評価されていました。天気予報のような地震直前の予測はまだ難しいですが、いずれは正確に予測できるかもしれません。
  •  一方、地震の時に、どういう土地が崩れるかどうかの予測は、これまでの研究で可能となりました。当社にご相談ください。
  • ※文献等はこちらを参照

 
切土(きりど)と盛土(もりど)では、土地の安全性が全く異なります。


  写真は、東日本大震災で、崩れ落ちた土地と崩れなかった土地を示すものです。この違いは、切土と盛土の違いでした。写真右の土地は、完全に崩れ落ちましたが、左の土地は、びくともしませんでした。盛土は、大規模地震にとても弱いのです。切土であるのか盛土であるのかを特定することは、安全性において極めて重要な指標となります。

 
谷埋め盛土地すべり


  •  地震時に盛土が大きく崩れる現象は、主に「谷埋め盛土地すべり」です。そのイメージを上の図に示しました。宅地を造成する時は、家や道路を平らに仕上げるため、尾根の削った土を谷に埋めます。この埋めた土を「谷埋め盛土」といい、この盛土の動く現象を「谷埋め盛土地すべり」といいます。宅地の谷埋め盛土は、全国に無数にあると言われており、大規模地震時は、必ず一定数の谷埋め盛土地すべりが発生します。なお、谷埋め盛土は、宅地だけではなく、生活で利用している道路や鉄道にも多数あります。

 
どこに盛土があるの?


 所有地やこれからご購入する土地が盛土であるかどうかについては、良心的な不動産屋さんであれば、ご存じかと思います。仲介いただいた不動産屋さんにお尋ねするのもひとつの方法です。 
 なお、大規模な盛土造成地は、一部の地方公共団体(都道府県、市町村)が公表していますので、対象箇所の自治体へお問い合わせください。盛土造成地箇所のマップは、危険箇所を調べるにあたり、非常に参考になります。なお、国土地理院の「重ねるハザードマップ」では、下記都市の盛土造成地が閲覧できます。

  • ・埼玉県さいたま市
  • ・東京都
  • ・愛知県岡崎市
  • ・愛知県豊田市
  • ・兵庫県神戸市 
  • 図 国土地理院の重ねるハザードマップより

国土地理院の「重ねるハザードマップ」http://disaportal.gsi.go.jp/maps/index.html

 
盛土の形が重要


    •  盛土だからといって、必ず動くというわけではありません。動く盛土と動かない盛土があります。これは、盛土の幅と深さの比が大きく関係しています。右の図は、動きやすい盛土と動きにくい盛土を示しています。同じ深さの盛土があった場合、幅の広い盛土が動きやすい盛土です。また、同じ幅の盛土があった場合、浅い盛土が動きやすい盛土です。
    •  要は、盛土の動きを止めているのは、下図に示すように盛土側方の抵抗力です。この側方面が、盛土の幅に対して十分深い場合は盛土は動かないということです。

 
つまり、動くかどうかの判定は?


    •  動くか動かないかの判定は、計算により求めます。計算に必要となる主なパラメーターは、図に示す盛土の幅Wと深さD、長さL、それと元々の地形の谷の傾斜角θです。これを下記ソフトに入力することで、動くかどうかの判定をします。

 
大規模谷埋め盛土の側方抵抗モデル安定計算プログラム「太田-榎田モデル」(フリーソフト)
 
 目安としては、幅/深さ比10より大きい時は、危険となる場合が多いです。
 

 
盛土の危険度判定システム


    •  当社は、盛土前の地形と盛土後の地形のデータを読み込むことで、盛土形状を自動で取得し、その盛土ごとに危険度を評価するシステムを開発しました。