評価し予測し事前対策する
防災に必要な技術
防災は、災害が起きないようにする、あるいは激甚な自然現象があっても災害を回避することです。仮に被災してしまった場合には、できるだけ被害を小さくし、早期に元通りの生活に戻る道筋があらかじめ分かっていることが大切です。
日本は、防災技術先進国と言われますが、個別の災害をよく見ると、一度大きな災害が起きた後の2次災害を防止する技術、壊れたものを素早く直す技術および資金力が優れているに過ぎません。予測・予防する技術は未発達です。その理由は、現状を評価する技術が未熟だからです。たとえば、家の裏山の斜面が安全なのか危険なのかを評価する技術、対策する技術、宅地の良否を判定する技術等々、 ちゃんとしたものがありません。
特に日本は私有財産制を認めているため、私有財産が被災した際の公的援助はほとんどありません。社会にとってはちょっとした災害でも、個人にとっては人生設計がくるってしまうということは容易に起きてしまいます。
それを防ぐために専門家・技術者が存在しているはずなのですが、個人の方がそういう懸念を相談する窓口すら現状ではほとんどないのが実態です。
今年の夏から、地盤品質判定士会が発足し、その分野にも技術者が関わるようになりますが、公共事業のような大型案件ばかりをやってきた技術者が、こういう問題にじょずうに関われるようになるには相当の年月が必要だと思います。
現地計測による評価
当社は、仮定や見た目に惑わされない「実測(証拠)にもとづく評価」を行います。
土の強度は、現地で実測します。透水性も実測します。地盤構成も物理探査等で実測します。そして、それらをリーズナブルな費用で行います。
評価結果は、たとえば斜面の場合であれば、安全率という専門家であっても安全・危険の閾値がわからない曖昧なものに頼らず、安全率1.0という明確な境界値を用いて、崩壊確率を算出します。確率評価にすることにより、守るべきものとの兼ね合いで、防災投資をするかどうかの判断が容易になります。
3D可視化
どんな調査結果も、理解が得られなければ防災に繋がりません。防災投資の決断をするのは、個別の住民、あるいは個別企業の経営者だからです。当社では、調査結果を3Dのコンピューターグラフィックスで表示したり、フルカラー3Dプリンタを用いて3次元模型を作成いたします。
高価なボーリング調査ではなく、強度がわかる土層強度検査棒・簡易な原位置透水試験装置・ミズミチがわかる地中音測定器・ミニラムサウンディング(貫入試験装置)・地層構成が非破壊でわかる高精度表面波探査や微動アレイ計測を活用します。
対策工は、高価な「力づく」によるものではなく、危険性を最も支配している要因を集中的に排除する方法を用います。斜面崩壊の場合には、崩壊する瞬間に非常に大きな水圧が作用しますので、その水圧が発生しないようにすれば崩壊を避けることができます。自然斜面や盛土造成地には「排水補強パイプ」、河川堤防には「LPD(堤防用排水補強パイプ)」などを用いて賢く対策します。
多くの専門家が避けて通る裁判対応もいたします。最も専門家が避けてはならない仕事なのですが、現実には裁判対応する専門技術者はごく少数です。
土層強度検査棒(SSR;Soil Strength Probe)とは
土層強度検査棒は、土砂災害の8割を占める表層崩壊の調査器具として国立研究開発法人 土木研究所が開発した簡易な調査器具です。簡易ではあっても、土の内部摩擦角φ、粘着力cが同時に計測できる優れものです。一般にボーリング調査や他の調査法から得られるN値(換算N値)からは、土の強度c・φのうちの片方しか換算式による推定ができません。現実的に、N値から土の強度は推定できなかったのです。家の地耐力を推定するにはこれでも十分でしたが、斜面の安定などでは実測強度が無いために、安定度評価技術が昭和30年代からほとんど進歩していませんでした。
土層強度検査棒で、実測c・φが計測できるようになると、崩壊地では崩壊の瞬間の地下水圧が計算により精度よく推定することができるようになりました。また、鉄道・道路等が管理上設定している雨量における安定度を、論理的に推定することができるようになりました。計測が簡易であることから、数多くの計測を行うことができ、そのばらつきを使うことによって、確率的計算も可能となり、安全率から崩壊確率へ評価指標を変えることができるようになりました。
土の強度が簡易に実測できるというただそれだけのことで、斜面に対する評価法は劇的に変化しました。もう、まったく非論理的な「逆算法で斜面の安定度を評価」を使わなくてよいのです!
土層強度検査棒は、土木研究所が開発し知財権も所有していますが、当社はライセンス使用契約を結び、土層強度検査棒を製作・販売しています。
フルカラー3D模型
地下にある土や地層のことを想像するのは難しいものです。人工的な土壌汚染などが組み合わさるとさらに難しくなります。こういうものは、3次元のコンピューターグラフィックス(CG)にするか、3次元模型を作ると容易に理解できるようになります。
当社では、アメリカCtech社のEarth Volumetric Studio (EVS) により、複雑な地盤や汚染を3Dモデルにすることができます。さらに、そのデータを3Dプリンタ用の形式に変換し、フルカラー3D模型を製作することができます。
ヘリコプターやドローンで撮影した画像を3D化し、地形模型を作製するサービスも、スカイマップ株式会社と共同で行っています。
当社は、アメリカCtech社の日本での代理店をしております。Earth Volumetric Studio (EVS) をお求めになる方、あるいはCG作成をアウトソーシングしようとされる方はご連絡ください。
長寿命化ができる排水補強パイプ・サビレス
昭和40年代初頭から、東海道新幹線の盛土区間で使われていた構成排水パイプを、高耐食性メッキしたものが「恒久排水補強パイプ(KT-040081-VE)」です。現在では、道路・造成地・河川堤防の浸透破壊防止にも用いられています。地下水を抜き、地盤を補強するだけでなく、崩壊の瞬間に発生する高水圧を消散させる効果があるため、記録的豪雨時にも斜面の崩壊を防ぎます。
また、地すべり対策工などで用いられる集水ボーリングに使われる保孔管を、同様の高耐食性メッキ鋼管にしたものが「サビレス;恒久集水ボーリング保孔管(KK-030021-V)」です。日本で最も事業量の大きな亀の瀬地すべり地の保孔管は大半がサビレスが用いられており、恒久化対策がなされています。従来のパイプと比べて長寿命のため、更新サイクルが長く、ライフサイクルコストが低減できます。
排水補強パイプ、サビレスは、建材商社の岡三リビックが販売しております。最新の単価や、納期などにつきましてはそちらにお問い合わせください。技術的なご質問は当社が受けておりますのでお気軽にお問い合わせください。